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建築・まちづくりのマネジメントとは?

2025/03/31

「建築・まちづくりのマネジメントって、何してるの?」

一般の方はもちろん、他業界のプロジェクトマネジャーの方とお話しする時、そして建築業界の方であっても、「建築業界でマネジメントやってます」だけでは具体的な仕事内容を伝えられないと思うことがあります。

建築業界では「マネジメント」という役割の定義が明確ではないので、何をやっているのかは同業の方にも意外と伝わりません。

建築・まちづくりのマネジメントでやっていることは大きく3つ

実際にやっていることを具体的に分解すると主に次の3つとなります。

①事業のマネジメント
②プロジェクトのマネジメント
③コンストラクションのマネジメント

これらは同じ「マネジメント」という言葉が付いているものの、組み合わさることで結果的には領域を横断した広義な職能になっています。そのため「建築・まちづくりのマネジメント」という同じ名称のサービスでも、これら3つのマネジメントのどこに比重を置くかによって業務内容が少し違います。

①事業のマネジメント

建築プロジェクトは基本的に「請負=提示された仕様を形にしておさめる仕事」のつながりで構成されています。そのため、プロジェクトの初期段階で発注の内容や仕様を決めたり、発注時のルールを決めたりするのは発注者側の役割となります。

この役割を専門的な知見や経験で発注者に代わり戦略的に組み立てるのが事業のマネジメントとしての仕事です。大きくは「推進戦略(どう進めるか)」「事業戦略(どのくらい費用をかけてどのくらい収益が見込めるどんな建物をつくるか)」「発注戦略(何を誰にいつどういう方法で発注するか)」の3つの視点で戦略を立てます。

②プロジェクトのマネジメント

プロジェクトマネジャーには「事業者、発注者、クライアント=依頼する側」と「受注者、ベンダー、請負者=依頼を受け成果を提供する側」の2つの立場がありますが、建築業界は専門性が高いため、通常は後者にプロジェクトをマネジメントする役割が設定されます。

受注者側がプロジェクト推進を担い、発注者側は受注者からの依頼に合わせて必要な検討や意思決定を行うといった流れです。

しかし、プロジェクトによっては「建築以外の専門性が高い要求事項が多く異なる専門領域を翻訳して繋ぐ」「発注先が多くに分かれ関係者が多い」「企画段階や運営も含めて一貫してコントロール」という業界、組織、フェーズを横断した調整、推進、管理が必要になることがあります。

そうすると、事業者目線でプロジェクトをまとめていくプロジェクトマネジャーが必要になりますが、建築の専門性を持っている発注者は多くありません。また、契約や利害関係の問題もあり、受注者側で兼務しての対応が難しいケースがあります。その場合、建築の専門知識に加えてプロジェクトをマネジメントする知識、スキル、テクニックを持つ第3者がプロジェクトマネジャーとして参画することになります。

この時、第3者のプロジェクトマネジャーは、事業者から依頼を受けて参画するケースがほとんどですが、プロジェクト最適化が事業の成功につながるため、短期的な利害調整よりも、中長期的なwin-winを目指して中立的な立場で参画します。

③コンストラクションのマネジメント

請負の成果につながる意思決定は、発注者が行い承認する必要があります。しかし建築事業の判断は専門性の高い内容が多く、聞かれても分からないというのが発注者の本音です。

そのため、発注者側で「設計者や施工者の説明が正しいか、発注者が説明内容を正しく理解できているか、発注者が依頼したことが建築に置き換えられているか」という建築の技術的内容に加え、コストや工期などについて確認し、業界の専門知識を補完するのがコンストラクションマネジメントです。コンストラクション=建設のマネジメントと言っても、その対象は発注、契約支援、設計、施工と広範囲で、分野も計画、設備、法規、施工、コスト、工期と多岐に渡ります。

「マネジメント」では括れない側面もある

このように、事業、プロジェクト、建設の3つの専門領域においてマネジメントしながら、最終的にはこれらが組み合わさり結実した成果を目指すのが「建築・まちづくりのマネジメント」となります。

一方で、この3つの視点だけでは括れない側面もあります。

どんな状況でも通用する事業、プロジェクト、建設の決まったパターンは世の中にありません。そもそも建物が建つ敷地は違うし、規模も用途も違うし、その建物を賃貸オフィスや商業施設など収益のためにつくるのか、自社オフィスや工場などのように生産活動のためにつくるのか、など目的も違います。

発注者についても、不動産デベロッパーのような建築事業を継続している事業者なのか、1回建てたらしばらくは建てない事業者なのかによって、スキル、知見、組織体制が異なります。

つまり、場所、クライアント、時代による前提条件と制約条件の固有性が高いので、まずはその事業やプロジェクトの特性を見定め、プロセスを論理的なアプローチと感性的なアプローチの両面からデザイン(構想)し、それをカタチにするために行動することが大切になります。

「建築」・まちづくりのマネジメント」には「なんとかしていいものを生み出したい」という創造と想像に基づく定義できない日々の行動が、仕事の根底にあります。

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吉見周平